ウェブデザインとは何か(文書指向ウェブデザインの補足記事)

ウェブデザインは互換性の追及である」。

ウェブデザインとは、様々な媒体で利用可能なハイパーテキスト等の情報資源の閲覧を妨げないデザインのことである。(多くの企業サイトがそうであるように)ある特定の閲覧環境にのみ特化されたものは、それ単体をもってウェブデザインとはいえない。何故ならウェブページは、車の中で聞く用途にも用いられるし、ハンドヘルドPCや携帯電話のような非常に小さな端末の液晶画面から、UXGAのような高解像度モニタまで、様々な媒体を通じて閲覧されるからである。閲覧者の中にはウィンドウの幅を調整して様々な方法で利用し、さらにはユーザースタイルシート等を使ってウェブページの細部を自分好みにカスタマイズする者もいるし、ウェブページにメモをとって自分の環境に保存する者もいる。

今、「ウェブデザイン」と呼ばれているものは、これらのうち非常に限られた媒体、例えば1024*768pxという解像度のモニタを使って、非常に限られた閲覧方法、例えばウィンドウの幅を目いっぱい広げて閲覧するという者、に対してのみ最適化されたデザインを指すことが多い。それが「ウェブ」デザインと呼ぶのにふさわしくないことは、ウェブの特徴、即ち、様々な媒体で利用可能であり、かつ、利用者が自分の自由にカスタマイズ可能であるという特長に照らし合わせてみれば明らかなことである。ウェブデザインを言い換えるなら、それは互換性の追及といえるであろう。

ウェブデザインは関係性の追求である

ウェブにはもう一つ最も重要な特長がある。分散している各リソースを、ハイパーリンク等を通じて論理的に結びつけることが可能であるということだ。ウェブデザインとは、リンクをデザインすることとほぼ同義といっても過言ではない。リンクという単純な仕組みは、ウェブの発展の中軸を担ってきたのだ。

以上のようなウェブの特長を生かす「真の」ウェブデザインへの接近方法には二つの対立軸がある。

対立軸その1:柔軟化か最適化か

ウェブの特長であるリソースと利用媒体との様々な関係を考慮すると、次の二つのアプローチが存在し、どちらを志向するかという選択の問題が必ず浮上する。

実際には、数多くある媒体すべてに最適化するのでなく、ある程度グループ分けをして(例えば印刷向け、携帯端末向け、PC向けなど)それらに最適なリソースを複数用意し、それぞれについて柔軟なデザインを施すという複合的なアプローチが営利目的では現実的な解となる。

対立軸その2:分散か集合か

リンクはリソースの付加価値を高めるが、全てをリンクに頼ることもできない。そのリソースとの関係性の度合いやコンテンツ量によってリンクか埋め込みかを選択しなければならない。次の二つの極端なアプローチを、ウェブデザインにおけるもう一つの対立軸として考えることができよう。

ポリシーの必要性

ウェブデザインは、これらの対立軸上のどの点を選ぶか、という選択の問題である。制作者の位置する立場や使用可能な環境、公開目的に応じて解が決定できればそれに越したことはないのだが、自己分析に多くの時間を割くことのできない製作者には何らかの指標が必要である。その一つとして文書指向ウェブデザインを挙げる予定である。

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Published: 2007-09-24 Updated: 2008-08-15