Jintrick.netagenda2008年10月アーカイブ → 2008年10月06日

ウェブページの要約、そしてRSS、SERPの理想と現実

Jakob Nielsenの考えによると、検索エンジンの検索結果ページ(SERP)に示されるべきは、ページの著者によるそのページの適切な要約であるという(彼の著書「ウェブユーザビリティ」参照)。そして著者がmeta要素を用いて適切なキーワードをつけることでその検索結果に正しく反映される。しかしこれは適切な要約や適切なキーワードを付加することも可能なイントラネットには言えることかもしれないが、WWWにおいては全くの絵空事であった。人々は面倒臭がって要約をつけないか、あるいは不適切で何の役にも立たない「要約」を記述するだけであり、宣伝目的のでたらめなキーワードで検索エンジンを騙そうさえとしたのだ。

私はmeta要素に書かれた質の低いウェブページの要約や嘘っぱちキーワードがちっとも役に立たないことを、ウェブの検索エンジンを使い始めて間もなく知った。だからこそGoogleが使われるようになったし、私もGoogleを知った瞬間から使い始め、周りの人に大いに薦めたものだ。Nielsenは自分の理想とは全く異なるSERPで大成功を収めたGoogleが余程憎いのか、何かにつけて想像力を働かせすぎたGoogle批判を書いたりしている。

確かにウェブページを精妙に要約する作業は人にしかできないだろう。しかし「できる」からといって「する」とは限らない。これはRSSにも言えることだ。RSSは、適切な要約が付いていれば新鮮で素晴らしいURLリストを提供してくれるだろう。しかしそれは「人々が適切な要約をつけてくれるなら」というあまり現実的でない仮定の下に成り立っている理想の世界の話だ。最初のパラグラフを切り取って要約にするくらいなら、最初から全文を読めた方が良い。すると、勢いあまって全文が掲載されたRSSが多数を占めることになるのは必然的ともいえる。つまりRSSは腐ったのだ(しかし「ブログ」はもっと腐っているから、腐ったRSSがとても便利に機能する)。

ただRSSには適切な要約をつける確かな利点が存在する。著者側の利点として一つ挙げられるのは、要約で留めておけば更なる詳細を求めて実際にサイトに誘導できるということだろう。ユーザ側の利点は、もちろん流し読みできることである。RSSに関しては、質の高い要約さえ提供できるなら、全文配信すべきでないというのは今だいえることだと思っている。


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公開: 2008年10月06日
カテゴリ: ユーザビリティ