HP

HP、HP、HP。このどうしようもなく安っぽい響きが嫌いだ。それだけかも。しかし安っぽいと感じるに至った経緯は無視できない。このキーワードを連呼するサイトには、共通した特徴があるように思える。

私は、生まれては消えてゆく恣意的なリソースの塊を、HPと呼ぶ。

「HP」に見られる特徴

• 作者の都合、気まぐれで「移転」が行われる。その行為は「お引越し」と呼ばれるのが特徴的。
• やけに頻繁に「リニューアル」が行われるが、中身は何一つ変っていない。「衣替え」と呼ばれることがある。
• 訪問者にとっては何の役にも立たない「入口」が存在する。
• 掲示板が、実質上の「メインコンテンツ」である。
• 運営者は、「閉鎖」をほのめかして訪問者を驚かすことに快感を感じている節がある。

HPという略語を私はもはや否定しないが、ホームページ、ウェブサイトとは厳密に区別されるべきだと思っている。見分けは難しい、あるいは不可能かも知れない。しかし、運営者の精神的都合で閉鎖したならば、これらの特徴を全く満たしていなかったとしてもそれはHPである。というかHPだったのだ。このとき初めて私は確信できる。

つまり、私が「安っぽい」と感じたのは、HP、HPと叫ぶ運営者にウェブサイトを私物と捉える傾向を見出したからに違いない。公開した情報にしろ、掲示板の書き込みにしろ、すべて「私物」。それゆえ、自分の気に入らない人間がそれらを利用するのを極度に嫌う。リソース全てを突然ゴミ箱に捨てても文句を言われる筋合いは無いと思っている。

私は「むかつく」という言葉が嫌いだ。その一言ですべて片付いてしまうからである。この言葉を好んで用いる人間は、自分の気持ちを整理する行為を「屁理屈」と呼んで卑しむ。