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Hatena::agendaを移し終えて

昨今コミュニケーションの部分が重視されている「ウェブ」だが、私にとってのウェブは、ハイパーテキストを公開する手段という認識が根本にある。そこで繋がっているのは人ではなく、ハイパーテキストと呼ばれる文書である。

わが国でブログと呼ばれているウェブ上の交換日記は、コミュニケーション手段、あるいは自己顕示欲を満たす手段として使われたらそれでお終いであり、ハイパーテキスト間の繋がりは軽視されている傾向がある。その証拠に、過去の記事で紹介したブログへの数百のリンクの内、アメリカ人のブログへのリンクは殆ど全てそのまま利用できたのに対し、日本人の「ぶろぐ」へのリンクは7割以上がデッドリンクになっていた。つまり記事が消されたか、あるいは非公開にされたのである。もっともアメリカ人といってもウェブに関するリテラシが高くそれで飯を食っている人々ばかりであるから、公平ではない。しかし私がリンクした記事の日本人の著者共は、ある程度リテラシの高い人々である(と、少なくとも私は思っていた)から、それを差し引いても酷い数字であると思われた。おかげで、Hatena::agendaにて2003年から2007年の間、多くの記事を紹介したが、それらの半分以上は現在役に立たない。

日本人は、World Wide Webについて何か根本的なところで勘違いをしている。そうでなければ、World Wide Webを利用して、何かその用途とはかけ離れた醜いことをしようとしている。「ウェブに公開する」という態度ではなく、「ウェブで遊ぶ」という態度を持っていて、URIを与え公開したリソースに対しての責任感が希薄か、そもそも「URIを与え公開したリソース」などという概念が頭にない。そんな連中とウェブについて一体何の意見交換ができるというのだろうか。リンクだのトラックバックだの、どうせ全て無駄になるのならら最初からないほうが良いではないか。リンクなどに頼らず、必要な引用だけ行ったほうが余程良いだろう。……このように、ウェブにリンク豊かなハイパーテキストを公開しようとする人間が馬鹿を見る世界、それが現在の日本の「ウェブ」なのだ

日本人は、どこにもアクセントを置かずのっぺりと「う え ぶ」と発音するらしいから、私が認識している e にアクセントを置いたWebとは全く違うものなのだろう。Webと「うえぶ」は明確に区別し、「うえぶ」で何かをしている連中とは関わらない方がよいだろう。ブログのエントリは次々流れていきますしと言ってのけた「はてな」も「うえぶ」のサービスと観て良い。

「うえぶ」には「うえぶ」で良い部分もあり、良いサービスも提供されているが、それはそのサービスを単独で利用した場合だ。World Wideにハイパーテキストシステムを利用する場合にはちっとも便利ではないし、何一つ進化していない。業務提携していない外部のウェブサービスにAPIを通じてコマンドリンクしたって、そのサービスが仕様変更したり消滅してしまったら何にもならない(例:http://mugi.cc/ajax/google/google.htm)。

ハイパーリンクの利便性はURIの普遍性が基礎になっている。この基礎が崩れたとき、ハイパーリンクの利便性もまた崩壊するのである。その辺りのリテラシの低い人間の公開した記事へのリンクなど、長い目で見ればちっとも便利ではない。必要な箇所の引用を怠っていたならば、デッドリンクの存在は便利でないどころか不便、迷惑極まりないであろう。自分の意見、主張さえ壊れてしまうのだから。

インターネット、HTTP、ハイパーテキストを使って連中は一体何がしたいのだろう?


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公開: 2007年11月22日
カテゴリ: agendaについて ,ウェブデザイン