リキッドレイアウトは動的なスタイルシートによって実現する。CSS2は閲覧環境に応じてある程度柔軟な変化を提供するが、まだ充分ではない。今現在でもJavascriptの助けを借りれば、本物のリキッドレイアウトに近づけることはできる。
リキッドレイアウトを助ける主なstuffは、今のところ次の四つ。
floatプロパティは「サイドバー」を表現するために作られたのでは、ない。テキストが回りこむ浮動オブジェクトを描くのがfloatプロパティの本来の姿である。しかし例えばあるテーブルにfloatプロパティを指定したとき、たとえそれがウィンドウの幅の8割を占めていても、テキストは回りこんでしまう。すると一行が異常に短くなってしまうことがあり、読みづらいことこの上ない。充分に小さなテーブルや画像に対してのみfloatを指定したいが、どの程度が充分に小さいかを製作者が判断することはできない。
この問題を解決するために、動的にスタイルシート(クラス名)を変更する。ウィンドウ幅に対して半分以下の幅をもつtableなら浮動オブジェクト化し、そうでなければ浮動させないようにすればいい。イメージとしてはこのようなスクリプトだ。
function optimizeLayout(){
var w = document.documentElement.clientWidth;
for each(let e in document.selectNodes("descendant::table"))
e.className = e.clientWidth/w < 0.5 ? "FloatingObject" : "";
}
window.addEventListener("resize", optimizeLayout, true);
window.addEventListener("load", optimizeLayout, true);
半分というのは単純化のための例に過ぎず、より良いリキッドレイアウトを追求するなら「ウィンドウ幅の残りが20em以上」のような計算が必要である。フォントサイズがユーザーの好みに応じて可変となり得るメディアにおいては、width(幅)の概念は一文字の大きさが基準となる。
イメージとしてはこのような構造だ:
<body>
<div class="container">
<div class="contents" href="contents.xht" rel="contents"></div>
<div class="main">本文</div>
<div class="appendix" href="appendix.xht" rel="appendix"></div>
</div>
</body>
もちろんdiv要素にhref属性などない。言いたいのは「埋め込むな。参照せよ。」ということだ。実際には目次や付録はlink要素でリンクしておき、必要となった時に埋め込む。
15emとか30emという値、右側、左側というのは一例に過ぎない。
2.とほぼ同じだが、floatではなくより適切なdisplay: tableを利用しようということ。
本文部分のブロック要素の高さの合計値が表示領域の高さ未満であったなら、本文部分を包括するdivブロックに対して-moz-multi-column-widthを指定する。しかしそのような適切なdivブロックが常にあるとは限らない。
長文の場合、本文部分のブロック要素(主にp要素)のshrink to fitした場合の「面積」を順々に加算していき、表示領域の面積を超えない範囲でdiv要素で包括するというプロセスが必要となる。
逆に短い文章、小さなコンテンツはマルチカラム化できない。表示領域の高さに対し30%未満の場合、前述の2.と3.の方法で外部リソースをロードした方が良い。