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TrackBackと閲覧者の利益

TrackBack(トラックバック)と呼ばれる仕様があります。トラックバック技術仕様書を読んでみたので、少し言及してみることにします。

TrackBackの概要

ある記事Aにリンクして言及している記事Bがあるとします。このとき、記事Aに記事Bが言及していること(リンクしていること)を明示的に伝える、これがTrackBackの核であるようです。これを自動的に行うにはどうすれば良いのか、その手段を示しています。

この自動化は「代理人」が行います。記事Bの管理者の代理人は、記事Aの内容(ソース)を取得し、その中で<rdf:RDF></rdf:RDF>というタグに囲まれた部分 {R1, R2, ..} を探します。{R1, R2, ..} のそれぞれの中から、dc:identifier="URI"のURIが記事AのURIに等しいものを探します。仮にR1の中にそれがあったとします。すると次に、R1の中からtrackback:ping="PING" を探し、PINGで表されるURIに向けてHTTPのPOSTリクエストを行います。この際、記事B側の代理人は記事A側に伝えたい情報を、クエリの形式で送信します。title、excerpt、url、blog_name という四つの情報を付加することが出来ます。

情報を受け取った記事A側の代理人(Webサーバ)は、正しく情報が伝わったかどうかを記事B側の代理人に伝えます。そして受け取った情報を元に、リンクの一覧等を生成できます。記事Aに言及している(リンクしている)記事の一覧です。

代理人に任せて自動化せずとも、HTTPプロトコルを使用しているのでHTML文書のフォーム等から手動で送信することもできます。

閲覧者の視点と対策

閲覧者としては、記事Aに興味を持った際、記事Aに言及している他の文書を読みたくなる場合があります。その時TrackBackによって生成された「リンク集」が役立ちます。

しかしながら、TrackBackというのは製作者(の代理人)同士で完結するメタな仕組みですから、これを知らない一般の閲覧者にとって、この文字列は理解されない可能性があります。ぶろぐ(blog)と呼ばれるものが、ぶろがー(blogger)のコミュニティのみで運用されるものである(言い換えると、日記を読んでいるのが日記を書いている人だけという状況)ならば兎も角、そうでないのならば、この単語は一次ソースから隠蔽すべきであると考えます。リンクリストへのアンカーならば「この記事に言及している他サイトの記事」等の文字列で代替しても問題は無い筈です。

また閲覧者から見ると、各記事の管理者それぞれがこのTrackBackを実装しなければならないという状況はマイナスです。当然、実装できない管理者が存在する為です。他のサイトのTrackBackのリンクリストより色々有益な情報を取得して味をしめた私は、これを実装していないサイトの記事についても関連情報を得たいと思うようになったので、被リンク検索を利用してみることにしました。

gooの被リンク検索は、フラグメント識別子を含んだURI参照を検索対象にしてくれる優れたものですので、これを利用します。とりあえずInternet Explorerのコンテクストメニューを拡張してみました。IE MenuExt等で導入することが出来ます。

アンカー上ではそのhref属性を、テキストを選択した状態ではその選択したテキストを、それ以外ではその文書のURIを対象にして、gooの被リンク検索を行います。

しかしこれではホットな情報を得られないかもしれません。検索エンジンのクロールの周期等に依存します。いつか検索エンジンの質が向上すればその点は改善されるかもしれませんが、どうなんでしょう。


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公開: 2003年10月22日
カテゴリ: Javascript ,ブラウジング ,(ハイパー)リンク